松尾山城まつおやまじょう

~大戦の帰趨を決した男の見た景色~

Shironav Master

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小早川秀秋が陣を置いた場所が松尾山になります。麓の駐車場から徒歩40分程度で登頂できます。山頂は、古戦場を眼下に見下ろせる絶景ポイントになります。春には、やわらかな気候に包まれながら、夏には森林浴も兼ねたちょっとした登山気分を味わいながら、秋であれば色づいた木々とさわやかな風の中、ハイキングができます。冬には、雪化粧をした関ケ原古戦場を一望できます。四季折々の風景を、関ケ原の中で最も深く感じることのできる場所が、ここ松尾山・小早川秀秋陣跡なのかもしれません。
関ケ原の戦いにおいて、優柔不断の裏切り者と酷評されることが多い小早川秀秋ですが、実際には勇猛果敢で、領民からも慕われる統治手腕を持った有能な武将だったといいます。当時19歳という若さで1万5千の兵を従え、東・西軍どちらにつくか?その1つの判断がまさに“天下分け目”になる重圧は、どれ程のものだったのでしょう。秀秋の最終判断が東軍に勝利をもたらした点を考えると「優柔不断の裏切り者」ではなく、関ケ原の戦いにおける「影のMVP」と呼べる武将です。
松尾山城跡・小早川秀秋陣跡 | スポット情報 - 関ケ原観光ガイド~より引用

関ヶ原合戦の1か月前となる慶長5年(1600)8月に石田三成は大垣城主の伊藤盛正に命じて廃城となっていた松尾山城の改修を開始、西軍総大将の毛利輝元と毛利軍本隊を招聘することを企図していました。しかし毛利輝元は大坂城から出陣せず合戦前日の9月14日に西軍に与しながらも去就の定まらない小早川秀秋軍に布陣されてしまいます。
合戦が始まっても家老の意見も割れており家中のまとまりのない小早川軍は動かず、秀秋自身も迷っており見晴らしの良い松尾山から合戦の様子を傍観していました。石田三成の再三にわたる合戦参加の烽火も無視していた秀秋でしたが、徳川家康が本陣を桃配山から前進させ、迫ってくる(この際に徳川軍が小早川軍に向かって発砲したいわゆる問鉄砲があったともいわれています)といよいよ意を決し、西軍の大谷吉継・平塚為広らの軍勢に襲い掛かります。
これが決定打となり東軍勝利に大いに貢献した小早川秀秋はその後、石田三成の居城である佐和山城攻めでも活躍し、戦後に五大老であった宇喜多秀家の旧領、備前岡山に55万石を与えられますが、わずか2年後に急死し、世人は大谷吉継の祟りではないかと噂したようです。

【目次】
基本情報
縄張図・鳥観図
ポイント
アクセス
参考文献・サイト

基本情報

城名(別名)松尾山城(小早川秀秋陣跡)
築城主富島氏?
築城年応永年間(1394〜1428)
カテゴリー安土桃山時代 山城 
関連項目馬出し 桝形虎口 関ヶ原の戦い 小早川秀秋 石田三成 徳川家康 
遺構主郭 桝形虎口 馬出状の曲輪 犬走り  
住所(所在地)岐阜県不破郡関ケ原町山中
指定文化財関ケ原町指定史跡
構造物曲輪、土塁、堀切、桝形虎口、馬出し、竪堀
問い合わせ先関ケ原観光協会 事務局
電話番号0584-43-1600

縄張図・鳥観図

現地案内板より
関ヶ原合戦の前には廃城となっていた松尾山城ですが、石田三成の命を受けた伊藤盛正によって大改修を受け、大兵力が駐屯できる曲輪を数多く備えた要塞となったようです。

ポイント

主な遺構 :
主郭
桝形虎口
馬出状の曲輪
犬走り
主郭
小早川秀秋も滞在したと思われる松尾山城の主郭です。
盛り土により城の中でも一段と高くなっており、周囲は土塁で囲われています。
また関ヶ原の合戦場を一望することもでき、戦況もリアルタイムで確認できたと思われます。
桝形虎口
主郭の南側の出入り口に設けられた虎口で、L字状の土塁によって攻め手の侵入路を強制的に曲げること、侵入してきた攻め手を周囲の土塁上から迎撃することを企図しています。
馬出状の曲輪
虎口の前面を防御するために設置された比較的小さい曲輪で、左右から兵を繰り出して前面に殺到する攻め手を側面攻撃することもできる攻撃力を持つ防御施設でした。
犬走り
犬走りは日本の城に関する用語のひとつであり、建築用語として今も使われることがある。犬が通れる程度の狭い幅の道にしたことが、名前の由来。犬走りは鎌倉時代から存在し、日本の城においては、敷地内にあって塀の外側にあり、垣までの狭いスペースのことを意味する。土居の見回りを行なうために必要であるとされた。また、上部にそびえる城郭建築や石垣などの地盤を補強するために備えられることもある。こうした理由から、城では土居の方向と平行に犬走りが設計されるのが一般的。犬走りがあると敵が城へ近づくときの拠点になって、敵が踏み入りやすくなるなどの短所もあった。
犬走り いぬばしり - 日本の城用語集~より引用
主郭につけられた犬走りが特にわかりやすいです

アクセス

松尾山城へは松尾山登山口 駐車場を利用することができます。
松尾山登山口 駐車場までのアクセス
名神高速道路 関ヶ原IC出口から約10分

松尾山登山口 駐車場から松尾山城主郭までは徒歩で約40分ほどです。

参考文献・サイト

サイト
松尾山城跡・小早川秀秋陣跡 | スポット情報 - 関ケ原観光ガイド
犬走り いぬばしり - 日本の城用語集
美濃 松尾山城-城郭放浪記

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