荒砥城あらとじょう

~本格的な戦国山城を体感~

Shironav Master

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this castle

荒砥城は今から約500年前に、この地一帯を治めていた山田国正によって築かれたとされています。
戦国時代中期には廃城となり一旦はその役目を終えます。
高度成長期になると城の近辺は観光地として見込まれテーマパークとして開発されました。この際に戦国期の遺構の大半が消失しました。
しかし平成以降は山城としての価値が再評価を受け、史跡公園として戦国期の姿に再整備されることになります。
当時のリアルな山城の雰囲気を伝える荒砥城はテレビドラマの撮影などにも使用されるようになり現在に至ります。

【目次】
基本情報
縄張図・鳥観図
ポイント
歴史的背景
アクセス
参考文献・サイト

基本情報

城名(別名)荒砥城(新砥城、山田城)
築城主山田国正
築城年1524年ころ
カテゴリー室町時代 山城 
関連項目復元遺構 眺望抜群 村上義清 
遺構石垣(遺構と復元) 門(復元) 物見櫓(復元) 兵舎、館(復元) 虎口(復元) 
住所(所在地)長野県千曲市上山田3509-1
指定文化財千曲市指定史跡
構造物門、兵舎、櫓、館
問い合わせ先千曲市城山史跡公園管理等
電話番号026(275)6653

縄張図・鳥観図

中心部分は整備によって復元されていますが、堀切などは復元事業の前に行われた開発によって破壊されたと思われます。
画像の出典:城山史跡公園「荒砥城跡」/千曲市

ポイント

主な遺構 :
石垣(遺構と復元)
門(復元)
物見櫓(復元)
兵舎、館(復元)
虎口(復元)
石垣(遺構と復元)
当時のものと思われる石垣です(1枚目)。舗装された散策コースを少し外れたところにあります。
一方復元された石垣(2、3枚目)は城内のあちこちで見ることができます。
並べてみると一目瞭然、どちらも野面積みではありますが、復元石垣の方が小さく、形の整った石(平石)を積んでいることがわかるかと思います。
門(復元)
復元された木造の門です。上部に射手を配置できる簡易的な櫓門のような形になっています。
二の郭と本丸の入り口部分にそれぞれ設置されています。
また二の郭本丸間の通路にも形状の違う門(冠木門)が配置されています(画像3枚目)。
物見櫓(復元)
二の郭の先端に配置された櫓です。
実際に登ることができ、上階からの眺望は抜群で、村上氏の治めた坂城の町や上田原が一望できます(画像2、3枚目)。
兵舎、館(復元)
館は籠城の際に大将や幹部が籠った場所です(画像2枚目)。
兵舎は籠城戦を戦う兵士が詰めていた場所です(画像1枚目)。
城といえば天守閣という認識がいまだに流布していますが、近世以前の城に天守閣はほとんどなく、館のような建造物が城の中心でした。
荒砥城ではバブル期に乱造された模擬天守のように当時の状況を無視した建造物が無く、ここも評価できるポイントだと思います。
虎口(復元)
守りの要である門を突破された際に侵入してくる敵兵の数を絞ったり、進行方向を無理やり変える(赤矢印)ことで勢いを削ぐための防御施設だと考えられています。
石垣の上に兵を配置することで弓や鉄砲はもちろん槍や投石でも攻撃を加える(緑矢印)ことができ、狭い空間に押し込められた敵兵は進むことも戻ることもできなくなってしまうでしょう。
このような形の虎口は喰違虎口に当てはまるのかなと筆者は考えています。まぁ復元なので深く考えても詮無き事なのですが、、
また、山城の虎口に関しては土塁などで形成する場合が多く、復元で全面石垣にするのはやりすぎであるという意見もあります。。

歴史的背景

荒砥城主山田氏

荒砥城を支配した山田氏は信濃源氏村上氏の一族とされています。
そのため、葛尾城主村上義清と共に武田信玄(晴信)の信濃侵攻に抗いますが、1553年に葛尾城が落城すると荒砥城も陥落し山田氏は滅亡します。
川中島の戦いを経て荒砥城の支配者は武田氏となりますが、1582年に武田氏が滅亡すると上杉氏に支配権が移ります。
その後、海津城の副将であった屋代秀正が徳川家康の調略にかかり上杉家を裏切ると秀正は荒砥城を占拠し籠城します。
1584年、上杉軍が荒砥城に攻め寄せたため屋代秀正は落ち延び、荒砥城は落城、同時に廃城となり以後歴史の表舞台から姿を消します。
城としての機能を喪失した荒砥城ですが、領地の一部が当時上杉家の人質であった真田信繫(幸村)に与えられたという話もあります。

アクセス

車で
・長野自動車道・更埴ICから30分
・上信越自動車道・坂城ICから20分
電車で
・東京方面から :北陸新幹線 → 上田駅(しなの鉄道線乗換)→ 戸倉駅
・北陸方面から :北陸新幹線→長野駅(しなの鉄道乗換)→戸倉駅
・名古屋方面から:JR篠ノ井線 → 篠ノ井駅(しなの鉄道線乗換)→ 戸倉駅
戸倉駅よりタクシーで約10分

駐車場:普通乗用車15台(無料)

復元された二の郭や本丸を見学するには入城料がかかります。
入城料
大人 :1人300円 団体(20名以上):1人250円
高校生:1人150円 団体(20名以上):1人100円
中学生以下:無料
※JAF会員証提示で割り引きあり

開園時間
午前9時~午後5時
※入城は午後4時30分まで

Googleマップで”千曲市城山史跡公園”を目的地にセットすれば迷うことはないと思います。

参考文献・サイト

書籍
中嶋豊,いざ!登る信濃の山城: 戦国の舞台イラスト案内図,信濃毎日新聞社, 2020
サイト
城山史跡公園「荒砥城跡」/千曲市
らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~
荒砥城-Wikipedia

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